「永遠に続け」総集編を入稿しました
試作版を印刷していただいている間に作業が止まったりしていたのでどのくらい時間がかかったかわからないんですが、ついにシリーズ2章「永遠に続け」総集編の最終完成版を入稿しました。
やったーーーーーーやりましたーーーーーーーー!!!

試作版や最終完成版というのはなんぞや?という感じなのですが。
これまでに300ページ近い本を作ったことがなくて、(主にノドまわりの紙の巻き込みが)あまりに不安だったので、今回は一冊から本を注文できるちょ古っ都製本工房さんで、大量発注する前に試作版を作っていただいたのでした。
→ ちょ古っ都製本工房さん
ジャン!
というわけで、手元にはすでに一冊「ブツ」があります。

4年間の集大成が一冊になったのもあり、本という形になったものを手にしたことでとてもテンションが上がりました。
現物があると、本をめくりながらおかしいところがないか修正箇所を探すことができるのでとても便利ですね。
さすがにこれだけ厚ければどこかでなにかデータに間違いがあるだろうと思っていたのですが、致命的なミスはなくて安心しました。
それに、試作版といいつつ印刷はとてもきれいなんですよ〜。
最近のオンデマンド印刷は全般的にすごく品質がよくなりましたね、表紙の色合いに至ってはほぼイメージ通りでした。
お値段もとてもリーズナブルだったので、良い時代になったものだ…としみじみしています。
これは自分用にして、大切に保持したいです。
一冊予備を入れていただいたので(ありがたいです…!)後日プレゼント企画かなにかできたらよいなと!
ちょこっとさんはPDF以外の形式は入稿不可でして、同人誌ではPDF入稿したことがなくてちょっと心配だったのです…が、そこも問題なくてよかったです。
(クリスタは一見PDF保存できなさそうに見えますが、実は500円でPDF入出力プラグインが買えます!)
→ CLIP STUDIO PAINT用PDF入出力プラグイン
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さて。
このページ数でA5サイズだとさぞかしノド側の紙の開きが固くて本の内側のセリフが読みにくかろうと思って、あらかじめ内枠ギリギリに配置しているセリフの位置をフキダシごと調整していたんですね。ちょ古っ都さんに発注する前に。
単巻で出していた時はB5サイズで、厚みも100P以下だったのでノドにかかっている文字も普通に読めたんですが、このサイズ&ページ数だったらちょっと余裕をもたせないとキツいだろうなと。
あと、自分の漫画原稿って結構台詞が多めな上に枠線ギリギリに文字を置いていたりするので!
内枠の中におさめていても限度があるんじゃないかな〜と…色々心配で。
フキダシをずらしてみたら下に画像がなかったりして、アタリだけでいいからフキダシの下にも絵は描け!と過去の自分を呪いつつコツコツ調整していったんです。300ページ近くを。
こういうところとか…ひどい時には人の胴体がまるごと消失したりしてましたし。

そういう気の遠くなる調整をコツコツした甲斐あって、読めない文字はほとんどなかったんですが…ですが…!
せっかくの総集編だし、欲を言えばもうちょっとだけ本の内側部分をストレスなく読めるようにしたい、そのためにはもう一工夫必要だなと思いまして。
修正作業の第2ラウンドをやりつつ、家中の厚い同人誌と商業コミックをめくって、どこまでならノド側の文字の位置と紙の固さが許容できるか脳内会議をしました。
もう、めちゃくちゃ悩みました。
悩みに悩んで、最終的には「自分の原稿の作り方&この厚みだと、紙を変えない限り望むような読みやすさを実現するのは厳しいのではないか?」という結論が出てしまったのでした。
1〜6巻の単巻を出している時(&1章の総集編)の本文用紙が上質90kgだったので試作版でも同じ紙を選んだんですが、上質紙ってやっぱりどうしても固いんですよね。長期保存には向いているんですけど。
こういうところに置いたセリフが、本を力一杯開かないとどうしても読みにくくなってしまうな〜〜〜〜〜〜と。

とはいえ、同じような上質紙で結構分厚い本を出されてる方でも、台詞の数がほどよい感じだったり、ページの中央寄りにフキダシを置かれている場合はあまり読みづらい印象は受けないんですが。
私の原稿、そこそこ長めのセリフがガッツリノド側に配置されてることが多いので…
こればかりは、その人の原稿の作り方との相性なんだなと思いました。
◆◆◆
じゃあどの辺の紙なら「アリ」になるかな?と思い、本文用紙を色々検索しまして。(柔らかさとか、白色度とか)
紆余曲折して、紆余曲折しすぎたので割愛しますが最終的にはb7バルキーという紙を使用することにしました。
【白いコミック紙「b7(ビーセブン)バルキー」新登場!】
— 大陽出版 (@taiyoushuppan) January 27, 2018
白い本文用コミック紙が使いたい!でもスーパーバルギーはちょっと厚すぎる……そんな声にお応えしました!ページ数が多くても開きやすい!季節のフェア・春(2018/2/3~4/1合わせ)でぜひお試しください! https://t.co/m7IfMUgeDX pic.twitter.com/auKPb688tR
b7バルキーは2018年くらいから使えるようになった比較的新しい書籍用紙なんですが、書籍バルキーやスーパーバルキーより薄くて白い紙(白色度92%)のようなので、上質紙の白さに近いなら紙を変えてもめだたないからそれにしてみようかなと!
紙の厚みも上質90kgと同じで0.12mmで、背幅データも変えずに済みますし。
今回の本はだいたい背幅を17.8mmくらいに収めたんですが、厚めのコミック紙を使ったら同じページ数でも26mmくらいまで膨らむんですね。
ぶ厚い本は個人的にとても好きなんですが、現実問題その厚みだと一箱に本があまり入らないし、冗談抜きで家に置き場所がなくなるので。
あと、厚すぎると通販時の発送手段にも制限がでてきますしね。
発送方法ごとに厚みに上限がありますし…(26mmだとネコポスで拒否されてしまいますし)
本当はシリーズの途中で紙を変えたくないんですが、今回ばかりは
「同じ紙にしたいこだわり<読む人の読みやすさ&保管事情」
というところに落ち着いたのでした。

ちなみにこれは、15年くらい前にもらった大陽さんの紙見本。
ハイバルギー(旧)の変色がなかなかすごいな?!と思いました。むしろ古本っぽくなって味があるのかも?
紙替えに関してはもう本当に悩みに悩んだんですが、ページめくり的にも保管事情的にも今回はこれがベストアンサーかなと思いました。
いえまだ最終完成版の現物を見ていないので、届いてからホンギャアってなっている可能性もなきにしもあらずなんですが…!
総集編…というか再録本を作るのは初めてではないんですが、背幅が20mm近くなると手に持って読んだ時の感覚や印象がかなり違うんだなと実感しました。
(ページ数というより、たぶん厚さの問題なんだと思います)
ちなみに家にあるA5サイズの一番厚い同人誌は、二次創作の小説本(背幅20mmくらい?)だったんですが。
そういや読みづらさをまったく感じないなと思っていたらノド側の余白を20mmくらいとってあって(あとついでに、天地左右の余白バランスも字間も段組もすごくいい感じで)なるほどーと納得したり。
最初に読んでいた時はまったく意識しなかったんですけど、その意識しないで読める感じこそが読みやすさなんですね…なるほど…。
うーん、いつも原稿用紙のテンプレートの通りに作っていたけど、どのくらい余白をとるかってめちゃくちゃ重要ですね。普段なにげなく目にしている冊子や書籍に関しても、違和感なく読めるようにするために数々の工夫をされているんだなあとしみじみしました。(プロダクトとかUIとか、デザイン全般にいえることですけど!)
◆◆◆
で、紙替えもすることにしたし、もうこれでいいんじゃないかな?充分だろ??そろそろゴールしなよ???って思ったんですが。
できればもう一手間だけ加えたいなーと思いまして…
いえ、もうやめておけよ…って思ったんですけど、ちょうど厚さが同じくらいの本をペラペラとめくっていて、あっ!ページ全体をノドから小口寄りにずらせたら、より読みやすくなるんじゃないかな?と…
フォロワーさんが、分厚い本を作る際にそういうことをされてたのも思い出しまして……
思いついてしまったから、やらずにいられなかった。(やらずにいられなかった…)(エコー)
ページもののデータを一定の基準で位置調整するなら断然AdobeさんのIn Designを使った方がよいとは思っていたんですが、なにしろまだ使ったことがないソフトだったのと、諸事情でちょっと納期的に間に合わなさそうでして。
どうしようかな〜〜〜と少し迷った結果、Photoshopのバッチ(自動処理をフォルダの中身全体にかけるやつのことです)でゴリ押ししました。
これ、やりたい一連の操作を記録したアクションさえ作ってしまえば、奇数ページと偶数ページで別フォルダに入れてボタン押すなので楽といえば楽なんですが。
楽なんですが…楽なんですが、とにかく手順がややこしかったです。
こういうことをやる人はあまりいないのではとも思うんですが、 In Design持ってないけど似たようなことやりたい!って人がいるかもしれないので一応手順を書いておきます。
〜こういう手順でやりましたMEMO〜
1. クリスタで、1〜6話のページ全体を余白大きめに書き出す
※ 全ページをひとつのデータにまとめると作品ファイルを開くときにめちゃくちゃ重いので、ファイルはわけたままにして開始ノンブルのみ変更しています
↓
2. 奇数ページ、偶数ページ、移動させたくないページでフォルダをわける
↓
3. 奇数ページフォルダに、画像を左に2mmずらすバッチをかける
※ カンバスサイズ/基準位置を左にして横幅+2mm → カンバスサイズ/基準位置を右にして横幅-2mm
↓
4. 偶数ページフォルダに、画像を右に2mmずらすバッチをかける
※ カンバスサイズ/基準位置を左にして横幅-2mm → カンバスサイズ/基準位置を右にして横幅+2mm
↓
5. 各画像をひとつのフォルダにまとめて、仕上がりサイズに切り取るバッチをかける
※ カンバスサイズ/基準位置を中央にして A5+ドブ3mm = W154mm x H216mm
私はデータがモノクロ二階調なので(自由変形が使えないので)ちょっと変なやり方で移動させちゃいましたが、グレスケの人は自由変形モードで数値入力するアクション作った方がわかりやすいかなと思います。
あるいは、二階調を一度グレスケにして移動させてからまた二階調にするとこまでアクションに組み込むか。
これでバッチリ!
ちょっとめんどいけど、時間はそこまでかからない!!
…と喜んでいたら、どういうわけか画像のプレビューがバグりました。
これで完成だぜ!って喜んでいたところだったので、あたまがばくはつするかとおもいました。
なんで?!なんで左に寄るの?!??!?

私がデータチェック担当者だったら、このプレビュー見た瞬間に血圧が30くらい上がってしまう。
macOSはモノクロ二階調PSD画像のプレビューバグがたまにあるみたいなので、多分それだと思います…前にも、コミスタから吐き出した画像のプレビューが真っ黒になったりとか画質がガビガビになったりとか色々あったので…(ぐんにゃり)
ファイルを開かなくてもAdobe系ファイルのプレビューがぜんぶ見れるのはありがたいんですけどね。
別名で保存したり、定番のトラブルシューティング手段を試したけどどうにもならず、お手上げだったので(備考欄に補足して)そのまま入稿しました。
データの中身そのものは正常だったし、プリントしても問題なかったし、Bridge先生のプレビューでも大丈夫だったので、大丈夫なんじゃないかな…
週明けに電話がかかってくるかもしれないけど…
(ここまで日曜日に打っていたんですが、特に電話連絡はなかったのでたぶん大丈夫だったのではないかなと思います)
◆◆◆
は〜〜〜〜〜〜
そんなわけで、一度試作本を作ったというのにまだハラハラしています。
でも、今回ばかりはお試し印刷をしてみて本当によかったです!
Webで公開しているデータと違って、印刷物は完売するまでは内容を直せないですし。
せっかく本を作るんだし、少しでもいいものを…作りたかったんです…
ちょっと一手間加えることで納得のいくものができるなら、最大限できることはやろう!ってつい思ってしまうんですよね。
そして自分の首が締まるわけです。
そんなわけで現在印刷中の総集編ですが、理想としては、5月中旬頃に通販を開始できたらよいなと考えています。
はるか昔。
— mizu (@miz_circle) April 19, 2020
人が永遠の生命と姿を持ち『魔法』と呼ばれる力を手に操り、たった一つきりの『王国』が世界を統治していた時代。
…それは『終わり』がなかったはずの世界が終わってしまう前の、出会いと別れの物語。
「永遠に続け」総集編
A5/292ページ/1500円
5〜6月頃に通販開始予定です pic.twitter.com/mCsb9e62Ac
できれば本来のイベントがあった時期にあわせたいんですが、ちょっと今は力をお借りしたい各業者さんがどうなるか読めないので…
(Twitterにも書きましたが、そろそろBOOTH倉庫さんの稼働が限界っぽいんですよね)
委託先や運送業者さんがおやすみ体制になったら、おとなしく時期はずらします。
本が届いたら内容含めてもろもろおしらせしますので、続報をお待ちください!
〜 2020年夏 追記 〜
できあがった本の通販情報に関しては、次の記事をご覧ください。
現在は完売していますが、2020年11月頃に再版する予定です。
→ 「永遠に続け」総集編通販のお知らせ
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なんか毎回ブログを書くと長文になってしまうんですが、ここまで読んでくださる方は何割くらいいらっしゃるんでしょうね?
この文章までたどり着いてくださった方、ありがとうございます!
先日回ってきた某認識テストの結果もこの有様だったので、どちらかというと自分は言語属性の人間なんだろうなと思います。
なぜ漫画を描いているのか…?

そういえばうちの漫画を読んでくださっている方も、なんとなく活字大好きマンな方が多いような気がします…ね…?!